「お前が独立してうまくやってき た、 最大の秘密を吐け。さもなければ命はない」
神田昌典. 非常識な成功法則【新装版】 (p.130). フォレスト出版. Kindle 版.
そう、脅されたとすれば、何を挙げるだろうか?私は、躊躇せず「はい、〇〇を聴く習慣です」と答える。
日本を代表するマーケターのひとりである神田昌典さんの代表作『非常識な成功法則』の中の一節だ。
『非常識な成功法則』は、今から20年以上前(2002年)に初版が発行された古いビジネス書だが、いまだに書店に平積みされ、高い評価を得ている超ロングセラー作品である。
〇〇に何が当てはまるか、下へ読み進める前にちょっと想像してみてほしい。
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答えは「テープ」
カセットテープだ。
CDやMDよりもっと古い音声の記録媒体なので、最近の若い人は見たことすらないかもしれない。
一応いまでも家電量販店などで売られているし、オールドファンやシニア世代には根強い人気があるらしい。
(まったく関係ないけれど、2004年に公開された大ヒット映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の中で、森山未來さん演じる朔太郎と長澤まさみさん演じるアキは、カセットテープを使って音声の交換日記をしていた。)
では神田さんがテープで何を聴いていたのかといえば、成功した経営者や優れたコンサルタントの話が吹き込まれたビジネス・テープ。
神田さんいわく、短期間で成功する起業家やエグゼクティブは、必ずといっていいほどテープを聴いているそうだ。
テープを聴くことのメリットは、単に知識が増えるだけではない。
以下の3つの効果が期待できるという。
テープを聴くと時間が増える
テープを聴く習慣を身につけると、時間が増える。
たとえば通勤時間や休憩中などに毎日2時間テープを聴くとする。
そうすると、1週間(5日)で10時間。1か月で40時間。1年で480時間聴けることになる。
480時間を8時間(一般的な労働時間)で割ると、なんと60日。
つまりテープを聴けば、空き時間に2か月分も勉強ができる。
テープを聴く人の1年間は14か月になるわけだ。
通勤時間や休憩時間には、たいていの人がスマホでSNSを見たりゲームをしたりして過ごしているが、一度テープを聴く習慣を身につけると、スマホを眺めながらボーっと過ごすなんてもったいなくてできなくなる。
ちなみにボクは、1秒でも長く聴きたくって、昼休みはウォーキングをしながらテープ(オーディオブックやYouTube)を聴いている。
運動にもなるし、昼食代も浮くし、1日2食で健康にもいいし、一石三鳥にも四鳥にもなる最高の習慣だ。
テープを聴くと発想力が高まる
テープを聴く習慣を身につけると、発想力が高まる。
「疲れた」「困った」「心配だ」……人間はボーっとしていると、ついつい否定的なことを考える生き物だ。
否定的なことばかり考えていると、どうしてもマイナスな出来事が目についてしまう。
しかしテープを聴くと、このマイナス思考を打ち消すことができる。
成功者のポジティブな思考に顕在意識が引きつけられ、マイナス思考からポジティブ思考に矯正されるのだ。
マイナス思考は人間の生存本能や危機管理能力によるもので、悪いことばかりではない。
しかしワクワクするような優れたアイディアは、ポジティブな心から生まれるものだ。
「お金がなくて不安だ」といつも考えている人が、投資詐欺にひっかかるなんてのはよくある話。
成功者のポジティブな思考に触れていると、自然と自信や勇気もみなぎってくる。
折れない心を磨くためにも、テープを聴く習慣は非常に有効だ。
テープを聴くと行動力が高まる
テープを聴く習慣を身につけると、行動力が高まる。
くりかえしテープを聴くことで、知恵や知識が血肉になり、適切な行動を無意識にできるようになる。
テープを聴いていると「ボーっとしていて全然聴いていなかった」なんてこともあるが、問題ない。
ボーっと聴いていても、潜在意識に直接知識が入ってきているからだ。
潜在意識のプログラムが書き換えられると、行動レベルに変化が生じる。
よく「自己啓発書を読んでも変われない」という人がいるが、当たり前だ。
変われないのは自己啓発書の内容が悪いからではなく、行動が変わるレベルまで読みこんでいないからなのだ。
本を読んだり講演を聴いたりすれば、その場限りのやる気は出てくる。
でも一過性のやる気は持続しない。だから変われない。
「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」のだ。
ずっと役立つことを得るためには、時間をかけて対象の深い部分にまで踏み込まなくてはいけない。
変わるためには、本の内容が血肉になり行動に変化があらわれるレベルまで、何度も何度もくりかえし読む(聴く)必要がある。
具体的に何回聴けばいいのか?
とくに決まりはないし、興味の深さや話し手への信頼度によっても、必要な回数は変わってくるだろう。
行動に変化を感じられるくらいまでくりかえせばいい。
ボクの場合、本は最低7回読み、テープは最低10回は聴くようにしている。
それくらいくりかえすと「あれ?ちょっと自分の言動が変わってきたかも」と感じられるようになる。
現代のテープとは……
神田さんの言葉にならい、便宜上テープと書いているが、ボクは実際カセットテープを聴いているわけでない。
神田さんのころは、多くの成功者が自分の肉声を吹き込んだカセットテープを販売していたそうだが、いまはほとんどないんじゃないかな?
(本書の中で紹介されていた日本経営合理化協会では、現在はテープではなくCDやデジタル音源で、経営者や思想家の音声が提供されている)
では何を聴いているのかといえば、ボクの場合はたいていスマホでオーディオブックかYouTubeを聴いている。
オーディオブックはAudibleかaudiobook.jpで聴く。
ビジネス書から小説まで作品数が豊富で、プロのナレーターや声優が読んでくれるから非常に聴きやすい。
ちなみに『非常識な成功法則』もAudibleで聴いている。(ちなみにちなみに書籍版でも何度も読んでいる)
YouTubeでは起業家や講演家のお話を中心に、映像なしでも楽しめるコンテンツを聴いている。
とくによく聴いているのは斎藤一人さん。
CDや講演会の音声をひとりさんファンの方たちがあげてくださっていて、音声によってはもう数百回は聴いているものもあるくらい。
最近はほかにもいろいろと聴かせてもらっている。
たとえば北原孝彦さんや翔さん(しゃべくり社長)、高橋がなりさん(まえむき人生相談)、中村文昭さん、鴨頭嘉人さん、キングコング西野さん、原田泳幸さん、岡田斗司夫さん、小阪裕司さんなどなど。
さらにYouTubeでは、松下幸之助さんや稲盛和夫さんといった偉大な経営者や思想家の肉声にも触れることもできる。
(マジメな話ばかりで疲れたときには、オードリーさんやハライチさん、三四郎さん、伊集院さんなどのラジオ音声でバカ笑いするのもボクにとっては大切なルーティン)
あとは、音声メディアのVoicy。
Voicyに関しては、気になる人をフォローしておいて、興味のあるテーマが飛んできたときに散発的に聴く感じ。
息抜き感覚だけど、ときどきめちゃくちゃおもしろい話を聴けることがあるから意外とあなどれない。
オーディオブックやYouTube、Voicy以外にも音声で学べるコンテンツやプラットフォームは無限にある。
要するに聴くものは何だっていい。
はじめから厳選しようとしなくても、たくさん聴いていれば、そのうち内容の薄いコンテンツは自然と遠ざけるようになる。
大切なのは、音声を聴いて学ぶ習慣を身につけること。
「カセットテープが奇跡を起こす」
ボクは神田さんのような社会的な成功者ではないし、まだまだ未熟な人間だ。
しかし、テープを聴く習慣が成功を引き寄せるという神田さんのお話には120%同意する。
この習慣を続ける限り、精神的にも経済的にもますます豊かになれることを確信している。