親友の偉大なひとこと:立つ鳥跡を濁さず

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先日、地元の親友と電話で話していて「この人は本当にすごいなあ」と感じたことがありました。

彼の仕事は近隣他県に荷物を運ぶ中距離のトラック運転手。

しかし勤め先の会社は、給料が安く残業代やボーナスも出ないのに長時間労働で大変らしく、(本人は笑っていましたが)そのうち過労で倒れるんじゃないかと心配していました。

それが最近、営業先の人から「ぜひうちで働いてほしい」と誘われて、転職することになったんだそうです。

同じトラック運転手ですが、トラックも4tから運転しやすい2tにサイズダウンして、残業代やボーナスまできちんと出て給料も大幅アップするということでとても喜んでいました。

でも転職が決まってから、彼は余計に忙しそうにしています。

「もう辞めるのにどうしてそんなに忙しいの?仕事を押しつけられているんじゃないの?」

と心配して聞くと、

「もう辞めるからさ、みんなが行きたがらない(遠くてキツイ)仕事ばっかり先に選んでるんだよね。いや~しんどいよ」

と楽しそうに話すんですよ。

私ははじめ彼の言っている言葉の意味がわかりませんでした。「もう辞めるんだからラクな仕事を選べばいいじゃない!どうしてわざわざキツイ仕事ばかり引き受けるの?」と思ったんです。

仕事を辞めると決まったら「いかに有給を消化するか」ばかり考えて、転職の準備をしたり仕事をセーブする人も少なくないんじゃないでしょうか?

それが彼は、さも当然のように(しかも楽しそうに)一番大変な仕事を率先して引き受けていたんです。

結局、彼は最後の出勤日までがっつり働いて、しかも最終日には(正確にはすでに退職済みなのに)ほかの人のミスをかばうために夜遅くまで無休で働いていたのだそう。

立つ鳥跡を濁さず

ということわざがありますが、実際に跡を濁さずに去るのは簡単ではありません。まして水面に波風ひとつ立てず美しく飛び立つなんて。

退職時のトラブルは話題に事欠きませんし、近ごろは退職代行サービスを利用して電話1本かけるのすら投げ出す人もいるくらいです。

言葉にこそ出しませんでしたが、

「この人はなんてできた人間なんだろう。こんなに心が豊かな親友を持てたことを心底誇りに思う」

そんな風に感じ、胸が熱くなりました。

彼は私の友人知人の中でも特別に人望の厚い人間で、誰からも愛されているし、何十年も付き合っているけれど彼の悪口を言っている人は一度も見たことがありません。

決して恵まれた人生を送ってきたわけではないんです。

片親で、しかも仕事をしているのかわからないような飲んだくれの父親に育てられたので、とても貧乏でした。

学生時代は風が吹けば簡単に吹き飛ばされそうなボロ屋に住んでいたし、地元の工業高校を出てすぐ、家族のために働きはじめました。

でも彼は貧乏なことで辛そうにしたり、人を妬んだりすることはありませんでした。少なくとも私の前では、いつでも笑顔で楽しそうにしています。

だからこそ私は彼が大好きで、十代のころは毎晩のように原付で連れ立って遊びまわっていたし、まわりの人たちもみんな彼のことが大好きだといいます。

いまの奥さんとも、高校時代に出会ってからずっと一緒で仲良くしています。

くわしくは聞きませんでしたが、今回の転職だってきっと彼の人望があったからこそ実現したのだと思います。

一生懸命楽しそうに働く彼を見て、担当者が「一緒に働きたい」と思ったに違いありません。

彼より学歴が高い人間や、お金を持っている人間はいくらでもいます。

でも彼より人望があって心の豊かな人間が、どれほどいるんだろう。

(仕事終わりの夕暮れ時)ちょうど電話をしたときにも、

「前の職場の人たちにたまには遊びにおいでよって誘われてるから、いまから事務所に行ってくる」

とうれしそうに話しながら車を走らせる彼が、とても印象的でした。

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この記事を書いた人

"楽しく学び、豊かに生きる"をテーマに、Webで文章を書いている個人事業主です。 | ブログ歴10年(2012〜) | 猫♀8才 | 九州出身 | 幸せになる覚悟をする。何があっても幸せそうな顔をし、何があっても幸せそうな言葉を使う。嫌なことがあっても絶対に言葉に出さない。覚悟を決めた人間に奇跡が起きる。

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